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貴女に溺れて彷徨う
第4章 変わらず捕まえていられたら
「大雅との関係に、昔ほど期待はないわ。こんなに自分が無責任でわがままだったなんて、我ながらビックリしている」
あゆみが部屋に戻ったあと、あたしが片付けを手伝っていると、みなぎがこんな話を始めた。
「何かあったの?」
「心配しないで。馬鹿なことはしない。あゆみのために、我慢はする。私の感情一つで別れるなんて、世間に顔向け出来ないようなことはしないから」
「もしみなぎが我慢出来なくなっても、恥ずかしくなんかないよ。ウチ、親、離婚してるよ」
「あっ、ごめん、悪気があったわけじゃ──…」
「ううん、こっちこそ。みなぎみたいに思ってる人だっているもんね。古風な家なら、今でも十分、覚悟のいる話だろうし」
ティーセットを食器棚の定位置に戻して、甘い匂いの残った空容器をゴミ袋の奥に押し込む。大雅が帰宅した時、客を迎えてお茶をした形跡は完全に消しておかなければ、面倒な小言を聞かされる羽目になるらしい。
何がどこに仕舞ってあるかもいつの間にか把握していたキッチンでの用を終えると、あたしは自分の荷物を確認する片手間に、話に戻す。