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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める
「いたいたっ、高垣さーん」
Tシャツにパーカーにジーンズという装いの優香は、先週とは別人だ。メイクも濃い。
彼女の隣に、先週は見なかった女がいた。
「紹介するね。と言っても、毎日顔合わせてたか。こちら、稲本みなぎさん。で、こちらが高垣莉世さん」
「初めまして……久し振りです」
「うん、久し振り……」
この瞬間、あたしはみなぎを思い出した。声で思い出すのも珍しいかも知れないけれど、ひなたが飴ならみなぎはぼうろ。素朴でぼそぼそした話し方は、却って耳に残ったものだ。
同窓会もとい女子会は、思いのほか盛り上がった。
あたしが目を引かれたのは、みなぎの、日傘もささずに保たれた、白い肌と明るい茶色のボブの髪だ。足し算式に華やかな外見を作る女ばかり見てきたせいか、最低限の化粧も正直いじるのがもったいなくなるほど、さり気なさに好感が持てた。