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貴女に溺れて彷徨う
第4章 変わらず捕まえていられたら
「お会いしてみたかったんです。会えて良かったです。本当だ、高垣さんが言ってた通り、肌綺麗!それに清楚なアイドルって感じですね」
「アイドルなんて、おこがましいです。一応、三十超えていますし……」
「年齢重視な人なんですか?頭の上にプレート乗っかってるわけじゃないですし、第一、何事も年齢制限なんか設けたら、つまらなくて眠たくなります」
「あっ、山城さん。みなぎはあたしのだからね。口説くのなしー」
「分かってますって」
山城さんがからから笑ったところで、みなぎが遠慮がちに口を開いた。
彼女は差し入れの他に、化粧下地とファンデーションの補充も兼ねて、店を訪ねてきたのだという。以前、あたしはいくつかのコスメをみなぎに押しつけた。以来、愛用してくれていたらしく、あたしは彼女の所望に従い、同じものを並べていった。
「これで合ってる?どっちも001番。一番明るいオークルだよ」
「有り難う。本当に肌が明るく見えて……、…──暗い私なんかが、お化粧くらいで調子に乗ったらダメかしら」
「みなぎは、もうちょっと調子に乗るべきだと思う」
あたしの言葉を聞き流しながらも、みなぎは今日も売り場を一周した。
アイカラーやライナーにも目を遣りながら、彼女が関心を示したのは、パステルベースのフィニッシュドパウダーだ。