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貴女に溺れて彷徨う
第4章 変わらず捕まえていられたら


「試してみる?色、ほとんどつかないよ。それでいて肌の印象はガラッと変わって、みなぎがますます美人さんに……!」

「お世辞くれても何も出ないわよ。うーん、色、少しずつ違うのね。肌に馴染むの選ぶべき?」

「それも無難だし、あたしの主観で言えば、みなぎはいっそ透明感で攻めれば良いと思う。ラベンダーカラーのプライマー、まだ残ってる?フィニッシュドパウダーもラベンダー多めのこっちにすれば、まとまりは出ると思うよ。ただ、こっちのピンク多めも捨て難いかな。人形みたいな二次元肌になる。この水色の部分をメインに使えば、くすみ消しにも」

「ナチュラルなのは?」

「このイエロー×グリーン。ベージュも入ってるしね。且つ、グリーンは肌荒れもなかったことにしてくれる。……って、みなぎは全然荒れてないか」


 結局、あたしの手の甲で発色を比較して見せると、みなぎは最初のラベンダーベースを選んだ。と言ってもその色味が強いだけで、数色入ったパウダーは、隣接した色と色をパフで混ぜて使うことで光のグラデーションが出る。


「有り難う。派手じゃないのにファンデーションが綺麗に見えて、顔で試すのが楽しみ」

「あたしも見るのが楽しみ。またLINEするね。今度いつ会える?」

「ごめん、今、予定立てるの難しくて……。ただ、莉世さえ良ければ店に私一人の時間があるから、来てくれたら嬉しいな……って」

「行くよ、行く行く!あ、試供品入れておくね。流さないヘアトリートメントと来期の新色ルージュと、オードトワレの人気の香りと同じハンドクリームも出るから、使ってみて」
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