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貴女に溺れて彷徨う
第5章 見返りという甘い汁
「じゃーん!」
きらきらした声に顔を上げると、頭の天辺からつま先まで、目を瞠るようなパステルカラーをまとったあゆみが満面の笑みで立っていた。
ペガサスとウサギが雲の上を遊ぶプリントが目を惹く肩袖フリルのジャンパースカートに、ハート刺繍の綿レースがこれでもかと言わんばかりに施された同系色の付け袖ブラウス──…さっきアレンジした髪のくるりんぱの部分には、綿入りキャンディが真ん中についたリボンクリップ。胸元を飾るネックレスは、あの日、それこそ本物のキャンディショップみたいなショーケースから彼女が選んだものだ。ジャンパースカートに合わせて出たものらしく、淡いウサギが全体のコーディネートによく馴染んでいる。
「うわぁ……あゆみこういうの憧れてたもんね。ロリィタなんて、もっと上の子が着るイメージだったし、おかしくないか心配だったけど、お化粧も全然違和感なくて。お洋服買っておいて良かったね。莉世、本当に有り難う」
「モデルが良かったからね。こっちこそ、あゆみちゃん貸してくれてありがと。合格祝いにこれがしたかったんだ」
「ところであゆみ、そんなリボン持っていた?靴下も。それにスカート着るとそんなに膨らむもの?」
「あ、これは今追加したの。そろそろ受験シーズンって頃に、いつみなぎ達が見つかっても準備万端でいられるように、お洋服に合わせて買っておいた」
「えっ?!悪い悪い、誕生日でもないのに……!」
「良いじゃん。可愛いもの見るのが、あたしの生きてる楽しみだし。甘いスイーツを食べる感覚で、好みの女の子に色々してるのが好きなの」
刹那、みなぎが顔を伏せた。
何を想像してるのか。あゆみがいなければからかっていたと思う。