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貴女に溺れて彷徨う
第5章 見返りという甘い汁

* * * * * * *

 やはり楽しいのだろう。

 莉世の何度目かの告白をどこか遠くに聞いた私は、確信が持てた。


 けれどずっと日陰に潜んできた雑草は、ひだまりに咲く花の隣に並んでは、太陽の熱に焼け焦げる。


「莉世みたいな人は、一緒にいて苦手なの」


 それは彼女に再会した頃、何度も胸奥が叫んだ本音だ。


「貴女みたいな人にとって、私みたいな人間は、優越感に浸れる道具なんでしょ。こんなみじめな人間は、貴女のような自由を当たり前にしている人に、どれだけ自分の価値を確かめさせるんでしょうね。莉世は、周りに責められるようなことになったって、打開策は持っている、失敗したって愛想が良くて綺麗なら、相手だって許す気になる。友達だってあちこちにいて、人生の節目節目で、きっと上手く正解を選び取ってきたのね」


 莉世が何か言いかけるのにも構わないで、まくし立てる勢いで、私は続ける。


「私なんかいなくても、莉世は幸せになれるわよ。こんな女をわざわざ置いておかなくても、莉世に引き立て役はいらない。私が保証してあげる。莉世は十分、きらきらしてるし、羨ましがる人間だってたくさんいるわよ」

「みなぎ、誤解してない?あたしはみなぎがいなくちゃ幸せになんか──」

「生まれた星の下が違うの。世の中は、格差で成り立っている。私は底辺だからって足掻こうとは思わない。プライドなんかとっくに捨てた、今はあゆみを守れさえすれば他に何もいらないの」
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