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貴女に溺れて彷徨う
第5章 見返りという甘い汁
「言ったでしょ。莉世さんのためなら何でもしたい。ううん、莉世さんのためでさえない。莉世さんの幸せが、私の満たされる条件だから」
「何で、そんなに……。もしかして、前世で生き別れた親友だったパターン?」
「残念ながら、占い師の素質はないの。私に分かるのは今のことだけ」
「響さんに分かってる、今って?みなぎのことも分かる?」
「莉世さん、きっと引くわ」
そんなことない、と追及すると、響の緊張が度を増したのが分かった。分かっていて尚、彼女を試して、狡いという自覚はある。
ひなたを放っておけなかった頃、あたしは今では考えられないほど強気だった。ひなたから不義の男を消してしまえるかどうかより、ただその笑顔が見たかった。
「莉世さんが、好き」
あの頃あたしも、今の響くらいまっすぐにひなたを見つめていたのだろうか。彼女ほどまっすぐな想いを、あたしはもうどれだけ誰かに向けられてこなかっただろう。
「何よりあたしを優先してくれる?響さんの好きって、それくらい切実?」
それは勝手にあたしの喉を衝いて出た。