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貴女に溺れて彷徨う
第5章 見返りという甘い汁
Tenue de bouheurのコスメで遊んでいる内に、隣室の母から差し入れがあった。響と二人きりでいたいがために、あたしは来客を秘匿した。そのため手に入れたお好み焼きは一枚だったけれど、サイズがそこそこあった分、響と分けてちょうど良かった。デザートに彼女の手製のクレープを食べて、その食感に思わずあたしは声を上げた。
「そんなに驚かなくても。いくら仕事人間だからって、料理くらいするわ」
「……響さん家、家政婦さんいるって聞いてたし」
「年中無休じゃないもの。家政婦さんのお休みの日は料理もするし掃除もする。と言っても分担だから、彼の方が腕は立つわね」
「同じ共働きなのに、みなぎとは大違い」
「大雅さん、そんなに何もなさらないの?」
「響さんは、気づかない?あいつ外面良いからなぁ」
恋愛感情抜きにしても、みなぎは連れ去ってきたいほど気がかりだ。
「じゃあ、今度会ったら無理矢理連れてこようかな。それか探偵にでも入らせてみましょうか。稲本さんのお宅」
「さすがのみなぎも怒るかも。響さん、ところで泊まっていくでしょ?ウチ、街からちょっと離れるから、この時間電車少ないよ」
身体目当ての男の気持ちが、少し分かった。害悪でしかない彼らも彼らなりに気兼ねしていて、心の中では、その欲望に動機くらいこじつけたがっているかも知れない。