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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める
こういうことしたら綺麗になる、というのを口実に、あたしはみなぎの唇を奪った。
追い出されはしなかったにしても、あからさまな疑惑の眼差しを浴びせられた。
大事なのは真偽ではない。
「この女の子みたいなこと、されてみたいんでしょ」
あたしはみなぎの肩に腕を絡めて、さっき見つけたDVDの裏面を、これ見よがしにちらつかせる。
「それか旦那さんとやってるの?」
案の定、みなぎは首を横に振った。
どこまでが蜜月でどこからが倦怠期か。十年以上、心が満たされるような関係とはご無沙汰なあたしにはイメージし難いけれど、少なくとも彼女が良人と呼んでいる男は彼女の願望にも気付いていないし、まして彼女をときめかせてもいないのだろう。
二度目のキスで、あたしはさっきよりねっとりと彼女を味わった。ルージュがはみ出るほど唇を撫でて、彼女から力が抜けた隙に歯列を割って、味覚を得るための部位にじゃれつく。