この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
貴女に溺れて彷徨う
第6章 苦みを消した実利の飴


「どうしたの。睦も元気なかったし、響さんまで感傷的になってる気がする」

「来年、下の子が高校を出るの。今一年生なの、莉世さん知ってたわよね?」

「うん」

「やっと自分の時間が増やせること、怖いんだ。持ち物だけは無駄にある、堅苦しい家に生まれて、私に自由はなかったの。限られた中での楽しみで、満足していたの。莉世さんの接客でコスメを買って、友達みたいな家族で団欒して。お洒落して、映画を観て。きっと人より恵まれているのに、もっと望んだら、欲が深いんじゃないかって」

「響さんの望みって、あたしと一緒にいること?」


 おどけた調子を装って、あたしはランチプレートに手を合わせる。

 サラダを食べてアイスティーを啜るあたしの正面に座る響も、優雅な手つきでパスタをフォークに絡め始める。


「莉世さんは、自由なところが素敵なの」

「自由じゃないよー。社畜だよー」

「そういうことじゃなくて。確かに私は、莉世さんのことで欲張りになっている。今でも貴女とこうしているのが、奇跡みたいに思うんだ」

「…………」

「私がプロポーズしたくなる前に、莉世さん、もし私が負担なら、もっと執着する前に、はっきり重いと言ってくれた方が良い」


 心外だった。

 あたしは響に救われた。みなぎにことごとく拒絶されて、どう伝えても伝わらなかったあの頃、側にいてくれたのが響だ。
 彼女が自覚している通り、確かにあたしは彼女にほど愛された試しがない。宙に浮いているようだった。彼女に繋ぎとめられるまで、誰の目から見ても自由だったのかも知れない。それがみなぎの逆鱗に触れたのも、今となっては思い出だ。
/254ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ