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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める


「……はぁ」

「こういうこと、したら美容に効くんだって」

「本当ですか?」


 みなぎの目に、さすがに疑いの色が浮かんだ。けれど、よく見ると怒っても戸惑ってもいないようだ。

 当たり前だ。

 少しでも脈を感じなければ、あたしはもっと慎重に、この機会を窺っていた。


 今朝、彼女はここで何をしていたのだろう。約束の時間、駅まで迎えに来てくれた彼女の頭の中には、誰がいたのか。


「あっ」


 あたしは、畳まれた布団の下に覗いていたプラケースを引き寄せた。

 みなぎが青ざめたのは、あたしの見つけたのがいかがわしいDVDだからだろう。
 彼女がこんなものを所持していたのにビックリしたし、客が来るのに隠し場所があまりに無防備なのにも驚いた。


「こういうの、好きなんだ」

「あの、それは……良人が──…あぁぁ、じゃなくて、あ、…………お客さんが来るのに、こんなもの……本当にすみません……」
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