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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める
ここ数日、あたしは、もう一度彼女の純朴な顔を化粧したくて仕方なくなっていた。いじるのももったいない白い顔に思いきって触れたが最後、やみつきになったのだ。
コスメの詰まったバニティケースと、この日あたしは玩具を持ち歩いていた。偶然だ。
それらの中には、今しがたのDVDの裏ジャケットに見られるのと似た代物も含まれている。表面では巨大な鳥籠に囚われていた女子高生に扮した主演女優が、随分と酷い目に遭いながら、顔を真っ赤にして恍惚と涙を流している。
「観るより実際にした方が、ドキドキして、綺麗になるためのホルモンが効率的に出るんだよ」
薄い耳朶にやんわり噛みつき、あたしは囁く。
「興奮した時、身体がふわって軽くなるでしょ。そのホルモンが、分泌されている証。たくさん出るほど、若返りも健康も促すんだって」
無論、科学的根拠はない。どこかで聞いた、心理学者の立てた仮説だ。
みなぎにとって、あたしは少し化粧の上手い美容部員で、元クラスメイトに過ぎない。あたしにとっても同じだ。
その彼女と再会したのは、つい一週間前のことだ。…………