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貴女に溺れて彷徨う
第6章 苦みを消した実利の飴
「響さん、何で……」
会えなかった五日間、不安でどうにかなりそうだった。自分がこうも弱かったこと、一人の相手にこだわれることにも驚く反面、理屈も答えもいらなかった。
響のことでいっぱいだったあたしは、いつも以上に意識して、ただ彼女を目にして胸が高鳴る。
「莉世さん。身勝手なことばかり言って、ごめん」
「謝らないで。何だって良いよ。今日は、何の話?」
注文したドリンクが運ばれてきた。昼ご飯がまだだというあゆみの前に、メロンソーダと並べてプリアラモードも置く。
あゆみに関する話なら、どんなに良いか。あたし達の関係を細々とした延ばしたところで、いつかはどうにかしなければいけないのに、まだ先延ばしにしていたい。
願うような気持ちで彼女らに話を促すと、奇跡が起きた。
奇跡など幸福が曖昧だと認めるようなものだと否定していたあたしは、あゆみが成績や家のことで悩んでいると言い出した途端、身体中から力が抜けていくほど安堵した。