この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
貴女に溺れて彷徨う
第6章 苦みを消した実利の飴

* * * * * * *

 試験に備えて美術部も活動を休止して、三日が過ぎた。

 塾までの時間が空いた私は、遠回りして両親の職場に立ち寄った。

 私の送ったLINEに母から返信が届いたのは、ついさっきだ。時間を合わせて、小休憩をとってもらえることになった。


 バスに揺られて十五分、広々した町に出ると、見当たるのはコンビニや自販機くらいだ。間隔を開けて建つ各施設も、工場や何かの会社と見える。

 久々の道のりを歩いていくと、目的地の門先に、見知った女性の姿があった。


「あっ、お疲れ様です」

「こんにちは。珍しいですね、あゆみさんがこちらにいらっしゃるなんて」

「塾まで暇だから、お母さんにアイスでも買ってもらおうかと思って」

「良かった。あんなお話をしていたから、もっとピリピリしてるのかと。中、入ります?」

「いいえ。お父さんに会ったら、勉強しないで何してるのかとか、きっと五月蝿いですから」


 母が私に厳しいのは、生来の生真面目を娘にも押しつけたがっているのもあるけれど、何より父の機嫌を窺うからだ。
 それが、私が母を尊敬出来なくなった理由の一つだ。周りの同世代の子達を見ると、私がおかしいのかと思う。どうにかして敬える部分を引きずり出そうと頭を捻るも、世間体だの周りの顔色だのばかり気にする母に、私がリスペクトしたいところはない。


「お母様呼んできますね。そうだ、お勉強はどうですか」

「お陰様で。莉世さんの教え方、やっぱり私に合っています。それに、相談にまで乗ってもらってしまいました」

「莉世さんも、だいたい私と似たようなこと仰ったでしょう」

「親のことじゃなくて──…」


 私は吉沢先生との関係を、莉世さんに打ち明けた。恋の相談かと冗談めかした莉世さんに、私はそうだと頷いた。
/254ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ