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貴女に溺れて彷徨う
第6章 苦みを消した実利の飴
夕飯のあと順番に浴室を借りて出てくると、みなぎからLINEが入っていた。
「稲本さんですかぁ?」
「そう。住むとこ探してるんだって。一生住み着けば、って言ってるのに」
「えーっ、ひぃは、イヤですぅ。そうだ、莉世さんが寂しいなら、ひぃが住み着きましょうかぁ?」
「急に来たら、お母さん達が寂しがるよ」
「一人暮らしは許してもらえなかっただけです。元々、五年前に出る予定でしたしぃ、ひぃは莉世さんと暮らしたいですぅ」
ひなたの部屋に戻ってから、彼女は普段の彼女らしく、甘えっぱなしだ。
「もちろん、ひなたならすぐにでも喜んで。ただ、あたし、そういうのまだピンとこないし、何もない日に決めるっていうのも……」
「確かに、雰囲気は欲しいですね。それにひぃも、せっかく莉世さんとお付き合い出来たんですしぃ、もうしばらく恋人気分でいたいかもですぅ」
砂時計の砂が、瞬く間に落ちていく。
ひなたとの時間は今日までにも莫大にあって、これからも無限にあるはずなのに、全く足りない。振り返れば出逢ってから今日までの五年、あっという間に過ぎていた。
「莉世さん。ひぃ、今日、生理じゃないんですぅ」
「知ってるけど、音漏れするでしょ」
「声は、抑えます」
「すぐ激しくなるじゃん」
「ちょっとだけ。キスだけ。ちょっとで良いので、触って下さいぃ」
這い寄ってきて、薄着の部屋着姿で胸を寄せて、ひなたが上目遣いにあたしを見上げる。
綺麗で愛らしいものをかき集めてきたかのごとく飴細工は、あたしの片手にその手を乗せた。