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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める
中学の教科書に目を通したのは正解だった。案の定、受験レベルの算数と理科は、小学校で習うほどぬるくなかった。
みなぎにあゆみを紹介されて、彼女の部屋に通された。
可愛い部屋だ。畳がむき出しなのは母親の部屋と同じでも、あゆみはそこに、優雅な曲線の洋風の家具をとり合わせていた。白やパステルが多くを占めて、どの方角にもぬいぐるみがあって、ポプリが香る。あゆみ自身も初対面のあたしによく話し、母親と似つかないのは部屋だけではないようだ。
「お母さんと私、似てないでしょ。ちゃんと血は繋がってるよ」
「髪色や化粧もあるんじゃないかな。よく見ると面影あるし、ちゃんと親子だって分かる」
「そう……お母さん、髪だけは可愛いんだよね。私は私立に行くから、あと六年は我慢かな。でも受験終わったら、お化粧もお洒落もしたい。友達と買い物に出かけたり、雑誌や動画で勉強もしたい」