この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める

つまりあたしは胸式呼吸で歌っているらしく、まずは呼吸法とやらを習うことにした。
歌のことを話している時のみなぎは、胸を張って生き生きしている。顔色も良く、化粧など必要ないんじゃないかと思う。お洒落は女の娯楽だと信じてきたあたしのような考えなど、彼女にはとるに足りなかったのかも知れない。
「まだまだです。勉強と同じで、人に教えるのって、本当に難しいですね……。腹式呼吸は感覚を掴めるかも重要ですから、私も中学一年生だった頃は、先生に苦労をかけたと思います」
「中一からやってたんだ。それは上手いはず」
「そうだ。歌を習うと、お尻を締めれば芯が出るともよく言われます。ちなみに高垣さんは、歌ったあと、どこか痛くなりますか」
「筋肉痛的な?強いて言えば、この辺?」
「やはり胸式だからです。お腹で歌う習慣が付くと、試験明けの久し振りに参加した部活の翌日なんかは、お腹が痛くて仕方がなかったのを思い出しますから」
「腹筋痛なんかあるんだ?!」

