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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める


 つまりあたしは胸式呼吸で歌っているらしく、まずは呼吸法とやらを習うことにした。

 歌のことを話している時のみなぎは、胸を張って生き生きしている。顔色も良く、化粧など必要ないんじゃないかと思う。お洒落は女の娯楽だと信じてきたあたしのような考えなど、彼女にはとるに足りなかったのかも知れない。


「まだまだです。勉強と同じで、人に教えるのって、本当に難しいですね……。腹式呼吸は感覚を掴めるかも重要ですから、私も中学一年生だった頃は、先生に苦労をかけたと思います」

「中一からやってたんだ。それは上手いはず」

「そうだ。歌を習うと、お尻を締めれば芯が出るともよく言われます。ちなみに高垣さんは、歌ったあと、どこか痛くなりますか」

「筋肉痛的な?強いて言えば、この辺?」

「やはり胸式だからです。お腹で歌う習慣が付くと、試験明けの久し振りに参加した部活の翌日なんかは、お腹が痛くて仕方がなかったのを思い出しますから」

「腹筋痛なんかあるんだ?!」
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