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貴女に溺れて彷徨う
第2章 醜いものは塗り隠せばいい
せりな達との月に一度の女子会は、大学を出てから十二年、ほとんど恒例化している。
毎月顔を合わせていれば、お互い大して変化に気づかず、それは幼少期から今に至るまで、鏡に映った自分の顔が同じに見えるのとどこか通じる。
それでも、AmabelだとかEmily Temple Cuteだとかを好んでいたせりなはいつの間にかそれらの洋服を処分していて、他の三人も、二人は育児を始めて身なりにこだわる余裕がなくなったとかで、一人はあたしと同じでLIZ LISAなどを好んでいたのに、いつの間にか落ち着いていた。
年齢的に痛いから、と、興味もない格好をするために時間もお金も無駄に使う女は珍しくない。ロリィタファッションを好んでいた当時の同級生達の中にも、早くて高校生で卒業とやらをしていた子もいた。
「莉世は似合うから良いんだよ。私なんか目汚しになるし」
「今は見てるだけかなー。お洒落が全てじゃないしね。でも娘が大きくなって、昔の私みたいな格好したいって言ってくれたら楽しみだな」
かくいうせりなや彼女達も、見苦しいような容姿ではない。
仮に見苦しくても化粧があるし、つまり気持ちの問題だ。どこかで植えつけられた偏見が、彼女ら自身も犠牲にしたのだと思う。
第三者の格好など、然るべき場でしか見ない。人はそこまで他人に興味を持たない。
あたしは化粧や洋服を他人のために選んでまで、自分以外の誰かのために生きようとは思わない。ただでさえ女という窮屈で理不尽な性を備えて産まれたのだから、特権くらいは多用すべきだ。男なら固定概念に塗り固められた一部の人間に白い目で見られる装いも、女は許容されるのだから。
というのはつい最近もあたしが感じていたことで、今夜は馴染みの睦の店を訪ねていた。