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貴女に溺れて彷徨う
第2章 醜いものは塗り隠せばいい


 綺麗な色だけが入ることを許された、小さな箱庭を眺める大瀬の横顔を、あたしは受け答えしながら盗み見る。
 くっきりとした目縁に透明な彩りを添える黒目がちな双眸に、小さな鼻先、ファンデーションはそれほど重ねた感じがしないのに、驚くほどきめ細やかな艶肌──…肩にすれすれ毛先が触れるこげ茶の髪はゆるやかに巻き、長めの前髪が格好良くも可愛くも見える横顔に憂いだ陰を添えている。まるで買い物の同伴者に相談でもしている調子であたしに話しかけてくる彼女の声は、さざなみのようにしめやかで、無駄なカロリーを感じさせずすっと耳に馴染んでくる。

 結局、大瀬はネイルも全色予約した。

 予約表は、いつもながら記入欄が真っ黒になる。


「こちらお控えです。本日お買い上げのお品物をお包みして参りますので、商品ご覧になってお待ち下さい」


 マニュアル通りの台詞を唱えて、あたしはカウンターへ向かう。

 いつもこの時、あたしは大瀬が商品など見ていないのを知っている。
 彼女の爽やかで甘い眼差しが吟味しているのは、あたしだ。まるで見えない薔薇色の糸に纏縛されたあたしは彼女の正体不明の期待に応じなければと、やたら意識が先走り、息が詰まる。いつも以上に背筋を伸ばして、優雅な手つきを心がける。
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