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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める
友人が後輩の目尻に唇を寄せるのを横目にして、あたしはスマホに目を戻す。
そうだよ、と、さっきのひなたの言葉に何テンポも遅れて返事をした。
「ふぅん、楽しいんですか?……ぁっ、……」
「ひなたちゃんも気になる?」
「別にぃ。それに莉世さん、……はぁっ、ノンケ専門のやつで女の子探してるんですよぉ……」
「可愛いバイセクさんが釣り上がるかもね」
「あー……ひぃより可愛いバイセク、いると思いますか?睦さん」
「妬いてるの?」
「秘密です。ふっ……ん、……アァッ……」
意外と楽しいよ、と、今度は心の中で答えた。
何故なら、いよいよ盛り上がってきたひなたと睦に水を差してまで、マッチングアプリをプレゼンするほどの気にはなれない。
ぴちゃぴちゃといやらしい水音が、夜の密室の無音を濡らす。
透き通るような肌からは想像つかない、しっかり成熟した女の色を刷いたひなたの潤みが、つと目蓋の裏に浮かぶ。
あたしは、優香という女と会う日程を相談していた。
結婚前提の交際相手を所望している彼女は、口調や職業を若干誤魔化しているあたしを、おそらく男と思い込んでいる。