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貴女に溺れて彷徨う
第2章 醜いものは塗り隠せばいい
「高垣さんっ?何故……っ」
「そんなに驚くぅ?今日の予定教えてくれたの、みなぎじゃん」
「それは、夜会えないかと訊いてこられたので、予定があって難しいですという意味でして……」
「その予定も終わったでしょ。みなぎみたいに可愛くて頭の良い女が、こんな非常識な人達と一緒に帰るとは思えないし」
「貴女、どなたです?!関係者以外は立ち入り禁止ですよ」
「いきなり割って入ってきて何でございますの、貴女こそ初対面の相手に挨拶もしないで非常識な──…」
上品な言葉つきはそのままに、女達が般若の形相で目を吊り上げる。
このままとりあわずにみなぎとあゆみだけ連れて帰りたいところだけれど、こういう女は自尊心が傷つくと、ことごとく八つ当たりに走る。というのを、せりな達との会合で、既婚者達に聞いたことがある。
鉄面皮の女達に、あたしはこれ見よがしに申し訳なさげな顔を向けた。