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貴女に溺れて彷徨う
第2章 醜いものは塗り隠せばいい
ひなたのリクエストで、あたしは果実酒をストックしていた。だから酔っていたのもあると思う。
あたしはひなたを諦めていなかった。彼女がまた誰かを信頼する気になったとする。きっとあたしは、第三者として傍観するだけでは飽き足りない。
それだけ寂しいなら自慰すれば、とからかうと、チークで血色を強めた頬をいっそう赤く染めたひなたは、躊躇いがちに口を開けた。
「言われなく……ても、……──て、ますぅ」
「え?」
「しっ、しないんですかぁ?勧めておいて、高垣さんはしないんですかっ?!」
今にも泣き出しそうなひなたの目が眩しくて、あたしは果実酒の瓶に視線を逃がす。
アルコール濃度は高くない。高くないのに、今を逃せば二度目はない、あたしの中の策士の声がささめいた。