この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
貴女に溺れて彷徨う
第2章 醜いものは塗り隠せばいい







 帰り着くと、今やひなたの特等席とも言えるリビングの壁際に彼女を待たせ、あたしはキッチンの冷蔵庫を開けた。

 世間話でもする調子で、後方のひなたに声をかける。


「結局、ひなたのこと裏切っちゃったね」

「何の話ですかぁ?」

「ひなたは一途な人が好きなのに。あたし、そういうのとは無縁だし。傷つけたよね」

「今更ー。莉世さんの有言実行なところ、ひぃは好きだから良いですよぉ」


 からからと笑うひなたは、本当にTenue de bonheurに入ったばかりの頃からすれば考えられない。


「あの人を忘れたくて仕事もやめて、全然違う環境に飛び込んできて。ひぃが追いかけてた幸せなんて、広い世界の断片でしかなかったんだなって、莉世さんに気づかされました。変わらないものなんてない。自分のために生きる勇気は、悪いことでもわがままでもない……って」

「…………」

「もしひぃがあのままだったとしても、あの人はひぃのことなんか忘れてたと思います。ひぃだけうじうじしてたら、悔しいです。でも莉世さんとあの人は、同じじゃないです。稲本さんのこと裏切りなんて、思ったこともありません。大好きです」


 本当に素直だ、と思う。

 みなぎに出逢ったのは間違いだったのかも知れない。間違いかも知れなくても、出逢いに間違いも正解もない。

 あたしもひなたが好きで、その感情がどんなかたちをしていようと、彼女の側を離れられない根拠としては十分だ。
/254ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ