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貴女に溺れて彷徨う
第2章 醜いものは塗り隠せばいい
つい最近のひなたとの推測が、あたしの中で現実味を増す。
あたしは、もしかすれば実業家くらいでは済まされないような人物の連絡先に手を伸ばす。響と一瞬、指が触れた。
「悩みごとがなくても連絡して欲しい、なんて、期待しちゃって良いですか」
「…………」
「今度、食事でもご一緒していただきたいです」
透けるような陶磁の頬の上を飾る、少女のように明るい目が、心なしか女特有の気色を帯びた。
恋であれ友情であれ、好意を向けてくれる相手だけを選別して付き合うことが出来るなら、どれだけ楽しいだろうと思う。
胸を打たれる女の範囲は広い方だった。可愛くても綺麗でもあたしは好きで、中でも自身の外見にこだわる類の女は、それだけで及第点の魅力が備わる。
それもあって、あたしはそれまで関わらなかったようなタイプの元同級生に、関心を持ったのだと思う。硬くて真面目でつれなくて、自身や見た目を飾るより、娘や歌に重きを置く人。
みなぎの顔が目蓋の裏に浮かびながら、あたしは宝石のような女を目前にして、夢見心地を覚えていた。