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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める


「あ、もうすぐだ。ごめんね。私これから人と会う予定があって、良かったらLINE交換出来ない?また会おう」


 当時はほとんど話さなかった優香でも、フル装備のデートコーデで気もそぞろにしているところを見ると、普通に可愛い。

 もう少し優香の落ち着かない様子を楽しんでいたい欲求を抑えて、あたしは例のアプリを立ち上げる。


「待ち合わせ相手って、こいつ?」

「へっ?」


 スマホの画面を覗き込み、優香が目を丸くする。


「どうも。りおです」

「…………うそ」



 ほんの一瞬見せた落胆を引っ込めて、優香はフル装備で昔話に興じることにしてくれた。

 あたしも彼女は知りすぎている。元から気になっていた子ならともかく、たかがマッチングアプリで再会したところで急に意識出来るものでもない。


「本当ビックリした……いや、知ってたよ。高垣さん、募集するなら彼女だろうなって。ただ、この発想はなかった」

「あたしもこの発想はなかった。友達の冗談、名案だと思ったんだけどな。本気は本気だったし、結構、ノンケの子を調教してきた実績もあるし」

「……言い方wま、元々バイの女の子なら、ワンチャンあるか」

「人間を見るのに、男も女も関係ないじゃん」

「そんな軽いの?」

「あたしは、男選ぶ趣味ないけど」

「関係あるし!」
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