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貴女に溺れて彷徨う
第3章 不自由への憧憬
睦はあたしの中を刺戟に狂わせ、リンゴを沈めた尻を罵倒しながら平手を打った。
深夜の空気と生理的な感覚だけに酩酊して、あたしは果てた。
いつの間にか窓の外が明るんでいた。
友人同士に戻ったあたし達は一人ずつシャワーを浴びて、束の間の眠りを貪った。数時間後、寝ぼけまなこで出勤したあたしを迎えたのは、せりなの呆れた眼差しだった。
それから三日間くらい、睦とあたしは主人と愛玩動物の真似事をした。
感情的な関わりにつけて淡白なあたし達は、その分の情熱を肉欲に注ぎ込んでいた。職場が近いのもあって、勝手も良かった。休み時間はスマホを片手に化粧室の個室にこもって彼女の命令に従えたし、バーでいつかの女達の模倣も出来た。
束の間のごっこ遊びに終止符を打ったのは、あたしからだ。格好良い女に傅くより、従順なネコを愛でる方が、あたしの快楽にはしっくりくる。
それ以来、ひなたを紹介して、彼女と睦、あたしの三人で遊ぶようになるまでは、裸も一切見せていない。
あの頃の探究心が役に立ったと実感したのは、最近だ。
例のごとく、あたしは真昼間にみなぎを連れ出して、彼女と駅前のホテルに入った。
白い石灰の壁の随所に巡らされたガラスが青い照明を反射させ合う個室は、魚介や波のモチーフが至るところに取り入れられていて、特に巨大な真珠貝を模したヘッドボードが目を引く寝台の前に立つみなぎは、さしずめ脚のある人魚だ。