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一度くらい夢を見たら
第3章 巧みな言葉


ソファから床へと女の体を引きずり下ろす。

床に押し倒された感想は?・・

耳元でそう囁かれた瞬間、

泉に生温かさを感じた。



慎之介はまず、下半身から楽しみ始めた。

ジーンズの、可動範囲の狭い中で

自慢の指使いを披露すると

美奈枝は身をよじって喜んだ。


散々濡らしてから、

ジーンズとショーツを足から引き抜いた。

下半身に涼やかな風を感じると、

いまさらながら恥ずかしさがこみあげてくる。

美奈枝は思わず顔をそむけた。



「雑誌の写真なんかより

 奥さんの方がずっときれいだ・・

 ほら、比べてごらんよ・・」



顔を向けるとさっき立ち読みした

月刊官能の写真ページを開いて、目の前にかざしている。

まあまあ若い浴衣の女の、あの写真だ。

再び泉に生温かな湿り気がもたらされた。



本を床に投げつけるようにして慎之介は、

今度は上半身に取り掛かる。


Tシャツをたくし上げ、ブラのホックに手をかけると

反射的に女は背中を反らせた。

まさに妄想した光景だ、と美奈枝の心は弾んだ。

床に押し倒され、全裸一歩手前の格好で

見ず知らずの男に体を開く・・

そんなの妄想でしか味わえないと思っていたのに、

こうして現実になっている。

夫への裏切りだとかふしだらな事をしているだとか、

そういったマイナスは頭をよぎらない。

今はとにかく、

初対面の男の目の前に自分の裸をさらしているという

事実があるだけ・・


興奮が美奈枝の息を荒くする。

それを見た慎之介も顔と下半身に熱を感じる。



「ねぇ、もっと柔らかいところでしたいわ」



ねちねちとしたしゃべり方で文句を言うと、

美奈枝の体を起し、抱き上げ、

ベッドへと移動する。



「奥さん、体もいいけど度胸もいいね」



慎之介の、少し馬鹿にしたような口調さえも快感になる。

イケない人妻・・まさに

今の自分がそのものだ・・


踊るように動く男の手に、体に、

今だけは

現実を忘れてすべてをまかせた・・・

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