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一度くらい夢を見たら
第2章 すごい偶然
「あの、お時間ありませんか?今」
にやけもせず緊張の色も見せず、
ごく自然に男は誘いの言葉を口にした。
まるでこれいくらですか?と
店員に尋ねるような、そんな感じで。
美奈枝の方は、そう言われて
緊張が体中を走り回る。
この歳になって
男にナンパされるなんて事、
妄想はできても現実には
ありえない事だと思っていたから。
どうしよう・・なんて答えよう・・
ホイホイついていったら尻の軽い女だと
妄想通りの結果になってしまったら・・
酸欠金魚のように口を開けていると、
男は肩をすくめて鼻で笑う。
「インタビューしたいんですよ、なぜ
こういう雑誌を手に取ったのか」
「は?」
「いや、男ならまだしも
女性がこのての小説を読むのには何か
理由というか・・どうして読みたいと思うのか、
その深層心理を知りたくて」
「ああ・・そういうことですか」
「だめ・・ですか?」
「少しくらいなら・・ええ、いいですよ」
結局美奈枝は承諾した。
そして見ず知らずの男の後について
本屋を出た。