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琥珀色に染まるとき
第8章 慈しめば涙してⅡ

 快感の針が振りきれて、ついに全身が溶けてしまいそうになった頃、彼はようやくそれを許してくれた。
 避妊具をまとった彼自身が、股の間に晒されている。霞む視界の中、涼子は黙ってその屹立を見つめた。

――こんなに大きいものが、私の中に……。

 一瞬、はしたない考えが頭をよぎる。そんな淫らな言葉、素直に口に出してすべてをさらけ出せるような女を、この男は今までに何人見てきたのだろうか。ふと劣等感が胸に刺さり、不安になる。

「ん?」

 その気持ちを察したのか、西嶋が顔を覗きこんできた。黙って視線を向けると、優しい笑みを返される。まるで瞳で会話しているかのように。心にひそかに芽生えた欲さえも、この男には透視されているに違いない。

 そこに硬いものがあてがわれた瞬間、思考回路が切断され、全神経がそこに集中した。ゆっくりと中を押し開き、入ってくる熱い猛り。

「ああっ……」
「ん、大丈夫。力を抜いて」

 苦しげに眉を寄せながら、西嶋は優しく囁き、頭を撫でてくれる。それだけで全身が悦びに震え、涙がにじんだ。

 ぐ、ぐ、と蜜壺の内側を確認するように、彼が侵入してくる。自分の知らない秘密の場所が押し開かれていく。あれほどとろとろにしてくれたのに、それを上回る苦しいほどの圧迫感に満たされ、息が止まりそうだ。
 奥まで来ると、ああ、と彼が艶やかな吐息を漏らした。初めて耳にするその喘ぎ声に、彼を受け入れたところがきゅんと反応する。

「……締まる」

 短く吐かれた、低く抑揚のないかすれ声。彼の余裕のなさを証明しているのだろうか。視界に映るのは、欲望の色に染まった男の瞳。覆いかぶさってくるたくましい身体は、熱い。
 まだ動かされてもいないのに、蜜壺はまた勝手に彼を締めつける。苦笑した彼が、強く抱きしめてきた。汗ばんだ互いの肌が隙間なく重なる。

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