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琥珀色に染まるとき
第8章 慈しめば涙してⅡ

***

「んん……」

 目が覚めたとき、ここが自宅の寝室でないことを理解するのに数秒かかった。寝返りをうつと、静まりかえった部屋にシーツと素肌のこすれる音だけが響く。
 薄暗い照明の中、広いベッドに横たわっているのは涼子一人だけだった。

 のろのろと上体を起こし、狭い部屋を見渡す。脱ぎ散らかしたはずのスーツやシャツはきちんと壁がけハンガーに掛けられている。その隣にある男性物の黒いシャツとスラックスが目に入り、涼子は安堵した。
 脱いだままの状態でベッドの端に追いやられているショーツに手を伸ばす。クロッチ部分の湿り気に羞恥を呼び起こされ、ため息が出た。ベッドの下に落とされたはずのブラジャーもショーツと同じ場所に置かれており、西嶋の気遣いを感じた。

「……力が入らない」

 独り言を呟きながら、とりあえず下着だけを身に着けてベッドから降りる。それでも甘ったるい倦怠感に勝てず、ベッドの端に腰を下ろしてぼんやりする。

 そのとき、バスルームに続くであろう扉が開いた。はっとして顔を上げると、そこには均整のとれた長身の男が腰にバスタオルを巻いて立っていた。
 濡れた髪を雑にかき上げる仕草が男らしい。なんだか別人を見ているような気分になり、妙に胸が騒がしくなる。

「起きてたのか」

 視線に気づいた西嶋が言いながらベッドに近づき、右隣に腰かけてきた。

「はい。ついさっき」

 小さく答え、広い肩にそっと頭を預ける。
 シャワーを終えたばかりの彼の身体はまだ少し湿っており、熱気を放っている。ボディーソープだろうか、かすかな香りが鼻をかすめた。

「いい匂い……」

 思わずその首元に顔を寄せれば、そうかな、と彼はおかしそうに答える。上品な低音に合わせて上下する喉仏がセクシーだ。

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