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琥珀色に染まるとき
第10章 マホガニー色の幻

***

 初めて入る西嶋の部屋は、ブラックモダンというのがふさわしいシックな内装だった。細かい雑貨類はいっさいなく、洗練されている。ここにブルーの明かりが灯れば、BAR Clayになる――そんなふうに思わせるシャープな雰囲気を醸し出している。

「どうぞ座って」
「うん」

 涼子は、黒革のゆったりとした二人掛けのソファーに腰を下ろした。手前にガラステーブル、その奥に背の低いリビングボードが配置され、壁には大きな画面の薄型テレビが掛けられている。
 ぐるりと見渡してみると、ダイニングスペースの壁に設置された酒棚が目に入った。

「あれ、見てもいい?」

 指差して尋ねると、ああ、と優しい声が返された。
 うきうきしながら酒棚に歩み寄る。並んでいるのは、やはりシングルモルト・スコッチばかりだ。蒸留所のオフィシャルボトルが多いが、インディペンデントボトラーのオリジナルもいくつかあるし、かなりの年代物もある。

「あ、これ……」
「ん?」
「昔親しくさせてもらっていた方が好きな銘柄なの」
「へえ」
「すごい、三十年物なんてあるのね」
「飲むか?」
「え……いいわよ。大事に飲まなきゃ」
「だからお前にしか飲ませないよ」

 ザ・マッカラン三十年のボトルを抜き取り、西嶋は優しく微笑んだ。手渡されたそれを落とさないよう大切に抱える。キッチンからグラスを取ってきた彼とともに、ソファーに戻った。
 ガラステーブルに置かれたボトルを手にした彼が、おおむろに開封し始める。

「まだ開けてなかったのね」
「ああ。だからお前が来てくれてよかった。いい機会になったよ」
「そう……」

 大事にとっておいたものを開けさせてしまった。そんな罪悪感を覚えながら、隣で彼がグラスにウイスキー注ぐさまを見守る。

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