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琥珀色に染まるとき
第10章 マホガニー色の幻

「そうやって、悶えるお前の顔を拝めれば、満足だよ」

 優しく意地悪な冗談を言いながら、乱れた長い髪を撫でつけるように耳にかけてくれる。

「んっ……そ、んなの、嘘っ……」

 納得いかない気持ちをなんとか言葉にしようとするも、大きな手に尻を固定されて腰を打ちつけられ、意識の隅に追いやられてしまう。

「あっ、あぁっ……」

 目の前でにやりと笑うセクシーな顔に欲情し、喘ぎながら夢中で唇を重ねた。

「んっ……ん、は、ぁ……」

 下からの突き上げは止まらない。腰や背中をやわく撫でる手のひらと、キスに応える激しい舌の動きに脳が痺れてくる。

「あぁ、西嶋さっ……ぎゅって、して……」

 無意識にねだって彼の首にすがりつく。目の前にある唇から、甘いため息が吐かれた。とろりとした瞳に見つめられている。

「可愛いな、お前」

 たくましい腕にきつく抱きすくめられ、重なる胸から伝わる温かい鼓動に包まれる。自然と目頭が熱くなった。

 この優しいぬくもりを永遠に感じていられたら――汗ばむ頬を涙で濡らしながら、涼子はそう願わずにはいられなかった。


***

 繋がったままで何度も甘い口づけを交わしながら、身体を突き抜けた快感の余韻に浸る。

「ん……にし、じま、さ……」

 合間にその名を呼ぶと、突然、キスの雨がやんだ。

「涼子」

 その甘くかすれた声は、愛おしさと、少しの寂しさを感じさせる――。

「……好きだよ」


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