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琥珀色に染まるとき
第11章 BETWEEN THE SHEETS

組み敷いていた彼女の身体から渋々降りると、彼女が上掛けを胸に引き寄せながら尋ねてきた。
「シャワー浴びてもいい?」
だめだと言って再びベッドに沈めてやろうと思ったが、やめておけ、と脳に命令される。
「ああ。行っておいで」
優しく微笑んでやると、もじもじとショーツを履いた彼女は恥ずかしげにベッドから降りた。背を向ける彼女の肩が、小刻みに揺れている。
「笑うなよ……」
余裕のない男を見てなにがおかしいのかわからないが、振り返った柔らかな笑顔があまりにも愉しげで、つられて頬がゆるんだ。
ときおりふと投下される、涼子の可愛らしい仕草にコロッとやられてしまう。なんだかうまく操られているような気もするが、相手が涼子なら気分もいい。黙って躍らされることにする。
着信履歴から旧友の名前を呼び出す。何度目かのコール音のあと、はい、とそっけない声が聞こえた。
「おいお前、俺を監視してるのか」
『なんだよ急に』
開口一番吐き捨てた言葉に、藤堂は電話の向こうで呑気な声を返す。
「タイミングが悪すぎだ」
『ああ、お楽しみ中だったか。悪い悪い』
景仁は心の中で舌打ちした。
「で、なんの用だ」
『明美のことだよ』
「……なにかわかったのか」
『彼女は、小林と繋がりがある』
「やはり男女関係にあったか」
『ああ。お前の勘は間違っていなかったようだ』
「…………」
『東雲さんには話すのか?』
「もう少し様子を見るよ。動きがあったら教えてくれ」
用件は済んだので通話を切ろうと思ったが、一つ、藤堂に聞いてみたいことが浮かんだ。
「なあ」
『ん?』
「お前、気づいてるんじゃないのか? 涼子の、あのこと」
『…………』
藤堂はなにも答えなかった。そのかわり、最後にこう言った。
『もう女を待たせるなよ』

