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琥珀色に染まるとき
第14章 MY FOOLISH HEART

 西嶋からの連絡もない。あのとろけるような情事は、彼にとっては最初から単なる戯れの一部だったのかもしれない。そう思ったほうが楽だった。
 互いの過去の繋がりを知った彼の後悔する姿は想像したくなったし、怒りに震えているかもしれないと思うと、消えてなくなりたい気持ちになった。

 城戸の言ったとおり、最近の自分はやはり変だった。西嶋と出会ったことによって信念を見失いかけていた。離れられてよかったのだ。そう何度も自分に言い聞かせてきた。
 そのたびに一つ、心に傷を負うように感じたが、それ以外の方法が思い浮かばなかった。

 まるで心を見透かして嘲笑っているような、どこまでも澄み渡る秋空の下、依頼人が待つ私邸まで警護車を走らせる。その助手席で、相棒がため息をついた。

「終わるのは年末だな」
「そうね」
「今年のクリスマスも仕事か……」

 不意にそんなことを言い出す男に、涼子はハンドルを切りながら苦笑を返す。

「なに乙女みたいなこと言ってるのよ」
「いや、本来なら乙女であるはずのお前が言う台詞だろ」
「だって、クリスマスなんて毎年仕事だったもの。もう慣れたわ」
「あ、でもお前今年はイブだけだよな。仕事」
「警護スケジュールで、たまたまね。でもどうせいつもどおりの休日よ」
「予定ないの?」
「ないわよ」
「枯れてるなあ。誕生日なのに。……また一つ歳を重ねるのに」

 聞こえてきたのは、きわめて小さな声。顔を見なくとも、城戸が呆れているのがその声色でわかる。
 城戸の言うとおり、涼子は来月の二十五日に三十一歳になる。一方、彼は八月に誕生日を迎えたがまだ二十八歳。実際には三つしか違わないというのに、男の二十代後半と女の三十代前半に雲泥の差を感じるのは気のせいだろうか。

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