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琥珀色に染まるとき
第14章 MY FOOLISH HEART

 なんだか恨めしくなり、赤信号で車を停止させたタイミングで隣を睨む。ふだんならこんな場面でおどける城戸は、急に静かになった。そして遠慮がちに口を開いた。

「お前、大丈夫か?」
「……当たり前でしょ。なんでそんなこと聞くのよ」

 城戸に気づかれないよう小さく息を吐く。色を変えた信号に後押しされ、涼子はアクセルを踏みこんだ――。

 やがて、警護対象者の住む高層マンションの地下駐車場にたどりついた。また、あの人に似た依頼人の顔を見る長い一日が始まる。

「おい。なにぼけっとしてんだ」

 呼びかけられて我にかえると、助手席の城戸が怪訝そうな顔をこちらに向けている。

「仕事だぞ。ヘマすんなよ」
「わかってる。甘く見ないで」

 気遣う相棒に鋭い視線を返せば、彼はいつものように子供っぽく笑う。

「やっぱりそれがお前らしいな」
「私らしさなんて……もう忘れた」

 涼子は自分に向かって呟き、一瞬だけ嘲笑を浮かべた。


***

「では、私はこれで失礼いたします」
「ありがとう。明日もよろしくね」

 少しだけ真耶に似たその笑顔が、また胸を締めつける……。十一年前のあの日、こんなふうに彼女を護れる力が自分にあれば、あの笑顔が失われることはなかったのだろうか。

 事前打ち合わせどおりに身辺警護を終えて事務所に戻り、コンビニで買ったサンドウィッチ片手に事務作業をこなすと、帰る頃には午後九時を過ぎていた。
 マイカー通勤の城戸から、家まで送ると言われて少し迷ったが、断る理由が思いつかないので従うことにした。


「異次元だよな、ほんと」

 ハンドルを操作しながら、城戸が突然切り出した。

「そうね、すごく若くて綺麗。年上とは思えないわ」
「昔ナンバーワンホステスだったらしいよ」
「ふうん」
「すげーよな。夜の世界からあそこまで成り上がるなんて」
「……そうね」

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