この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
琥珀色に染まるとき
第15章 A TIME FOR LOVE

 あれから明美は、小林の話をまるでなかったことのようにいっさい口に出さない。涼子にも裁判の結果を知らせてきた以降、連絡の頻度は低くなったという。
 景仁も、明美の精神面やほかの客に悟られる恐れを考慮して、積極的には聞かないことにしていた。なにより、ストーカー被害者に関して敏感になりすぎる傾向にある、涼子に対しての配慮でもあった。

 そんな中、藤堂は、明美と小林が男女関係にあったことを明美本人から聞き出した。彼女の好意をうまく利用し、自ら語るよう仕向けたのだろう。
 彼女の不可解な言動を不審に思ったのは藤堂も同じだったようで、あれ以来、汚れ役を引き受けてくれている。

「明美さん。最近の生活はいかがです?」
「うん。もうすっかり元どおり」
「そうですか。……もう、怖くはないですか」

 静かに尋ねると、明美の瞳がきらきらと輝いた。

「心配してくれてるの?」
「ええ。大切なお客さまですから」
「あはは、嬉しい」

 ふと、明美はなにかを思い出したように表情を曇らせた。

「あいつ……もう懲りたよね。このまま二度と私の前に現れないでほしい」

 最後は語気が少し荒くなった。そこに怯えは感じられないが、あの男に対する怒りは消えていないようだ。

「前にもね、似たようなことしてくる人がいたの」

 ぽつりとこぼされた告白。たしかに夜の街にそういう話はつきものだ。水商売は、いわば仮想恋愛の世界。客をいい気分にさせるのが仕事といっても過言ではないから、ときには恋人のように甘えた言動で気を引くこともある。それで客が勘違いし、ストーカー行為に走ることもしばしばあるのだ。

/429ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ