この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
琥珀色に染まるとき
第3章 出会いは静かな夜に

「まずは涼子ちゃんに確認なさいよ」
「失礼。先日の出張警護をしていただいた際に、よくブラックコーヒーを飲んでいるところをお見かけしたので」
「だからって甘いものが嫌いかどうかなんてわからないでしょ。勝手に頼むなんて図々しいわよ。ほら、涼子ちゃんもなにか言ってあげて」
「ええ、まあ……」

 同意を求められても、正直なところ返答に困る。たとえそれが冗談だとわかっていても、依頼人の秘書に向かって失礼になるような言葉は口が裂けても言えない――それが涼子の性だ。真面目というのは褒め言葉ではないとつくづく思う。
 
「そういえば、さきほどまで響がいましたよ」

 ふと、脈絡もなく、西嶋がまったく関係のない話を振った。
 佐伯の顔色が変わる。

「あらそうなの。久々に会いたかったわ。今度涼子ちゃんにも紹介するわね、ホストの響くん。可愛いわよ」
「はい。……ぜひ」

 ホストクラブなど縁のない世界だ。佐伯の心がそちらの話題に移ってくれてよかったと胸を撫で下ろしながらも、涼子は彼女の話を聞き流していた。
 それにしても、藤堂の鋭い洞察力には驚かされる。素知らぬ顔をして佐伯のそばについていながら、担当警護員の嗜好をしっかりと把握していたのだから。

 なんの気なしに見上げた先には、整然としたバックバーが堂々と構える。ウイスキー、ブランデー、リキュールといったボトルの数々、たくさんのグラスが青白い光に照らされ、そこに並んでいるだけでアートのようだ。
 割合としては、ウイスキーが八割方を占めているという感じか。よく観察すると、スコッチのシングルモルトが豊富に取り揃えられているのがわかる。どのボトルもほこりを被っている気配はなく、すべてラベルを前にして置かれており、定期的に磨かれ整理されているのが窺い知れる。

/429ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ