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琥珀色に染まるとき
第17章 青い薄闇に埋もれてⅡ

「ぐしょぐしょだな」

 ふだんはあまり使わない卑猥な言葉を投げる。羞恥に頬を染めた愛しい女を抱き寄せ、いよいよ、乾くことを知らない泉の入口へと中指を這わせる。

 そのときだった。
 扉の外で男女の話し声がした。びくりと肩を震わせた涼子が、恐怖に怯えたような視線を向ける。その視線を追って、景仁も黒い扉を見つめた。
 かなり大声で言い合っているのか、そのくぐもった音は静まりかえった店内にかすかに届く。カップルだろうか。それにしても迷惑だ。こんな日にわざわざこんな場所に来て、喧嘩で愛を確かめ合わなくてもよかろう。こちらは真っ最中なのに。

「大丈夫だよ。入ってこないから」
「でも……」
「大丈夫」

 彼女の秘部に指を残したまま、その耳元に顔をうずめ、髪の香りを嗅ぎながら囁いた。
 店を閉めたとき、彼女がうとうとしている間に扉の外に“CLOSED”の看板を掛け、すでに内側から鍵をかけてある。営業中でない店のドアを打ち破ろうという狂った無礼者でない限り、おとなしく通路を戻っていくだろう。

 なおも不安げに扉のほうを窺う彼女の小さな顎に手を添え、こちらを向かせる。濡れた瞳に見上げられた瞬間、お預け状態だった指を蜜壺に侵入させた。そこが、くちゅり、と卑猥な水音を発した。

「あっ……だめ……」
「ほら、脚広げて」
「や、待って……あぁっ」

 しーっ、と耳の穴に空気を吹きかければ、自身の声の大きさに気づいた彼女がはっとした顔で口を両手で覆う。懇願するような目をして首を力なく左右に振るさまを見せられ、欲情しないはずがない。
 温かな彼女の中、指の腹で蜜口の上壁を押し上げ、圧しながらほんの少しの間隔でこすってやる。

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