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琥珀色に染まるとき
第18章 白い靄の中に

 湯船の中、汗ばんだたくましい肩に濡れた手を置き、目の前にあるその瞳を見つめる。

「もう遠慮するな。俺にも、真耶にも、お前の幸せにも」
「……っ」

 無言の愛を伝えてくれたあのとき、もしバーカウンターに阻まれていなければ、彼はきっとこうして肌を触れ合わせながら、力強い言葉をくれただろう。
 目頭が熱くなり、間もなく視界がぼやけた。目尻にやわく押し当てられた彼の唇が、溢れた涙をすくう。

 気づけば身体が勝手に動いていた。その唇に引き寄せられるように。自らの唇を彼のそれに重ねて撫でるようにすると、始めこそ優しく応えてくれた彼だったが、それはすぐに深い口づけに変わった。

「んっ……は、ぁ……」

 舌の侵入を許すと、そのまま激しく求められる。濡れた口内がいやらしい水音を奏で始めた。目を閉じて、唇と舌の感触に神経を集中させる。
 背骨に沿って撫で上げられ、思わず彼にしがみつく。互いの肌に隙間がなくなるほど、強く。

「はあ……ん、ん……」

 バスルームに響く互いの息遣いが、さらに欲情をかき立てる。立ち昇る湯気と、彼が発する熱に、今にも溺れてしまいそうだ。

「ね……のぼせ、ちゃう」

 なんとか唇を離してそれだけこぼすも、逃がすまいと追ってくる彼にすぐさま塞がれる。

「んっ、ぁ……」
「俺もだ」

 激しいキスの合間にそう囁いた彼は、だけどな、と低く言った。

「その前に、こいつをどうにかしてくれ」

 自身を抑えるような吐息混じりの声と同時に、ぐいと腰を引き寄せられて密着させられた、それ。硬い屹立が男を主張し、女の色欲を刺激してくる。

「涼子」

 名前を囁く彼の表情に、本能を駆り立てられた。
 その広い肩を掴んでいた右手をゆっくりと湯の中に忍ばせ、たくましい胸板に滑らせていき、腹筋を撫で下ろす。そうして、手のひらをそっと、反り上がる彼の裏側に当てた。

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