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琥珀色に染まるとき
第18章 白い靄の中に

おもむろにその耳に唇を寄せ、中をねっとりと舐めまわす。いつもは自分の脳内に響いて思考を溶かす卑猥な水音が、今日は彼の余裕を奪っていく。深く吐かれるため息でそれがわかる。
そこで、涼子は囁いた。彼の脳内を侵食するように。
「私に……させて?」
なぜこんなにも、淫らで大胆になってしまうのだろう。酔いなどとっくに醒めているはずなのに。浴室内に漂う白い靄が、羞恥に染まる頬をごまかしてくれるからだろうか。
諦めたようにのろのろと立ち上がった彼は、広いスペースに腰かけた。
その股間で猛々しく天を仰ぐ屹立の根元をそっと掴むと、熱かった。おそるおそる舌を差し出し、つるりとした先端を舐める。甘いため息が聞こえて見上げると、彼が困ったように微笑む。
裏の筋を下から舐め上げてみれば、押し殺したような呻き声が降ってくる。ぴくりと反応した彼自身を丸ごと包みたいという衝動のまま、唾液でコーティングするように全体を舐め、唇を被せて口の奥まで呑みこんだ。
歯を立ててしまわぬよう、彼の表面に唇を吸いつけて上下する。水の味とは別のなにか――彼の味を感じる。
「……っ、はぁ……」
頭上で喘ぎのような吐息が聞こえた。
「ん、んっ……」
自らの唇と彼がこすれ合うたびに、じゅぷじゅぷと水音が漏れる。身体が熱い。自分だけ湯船に浸かっているせいなのか、それとも口の中にいる彼の熱のせいなのか。
「涼子……」
彼は切ない声を出すと、乱れて頬に張りついている後れ髪を耳にかけてくれた。目線だけを上に向けると、悩ましげな視線にとらわれる。
「もう、いいよ。十分だ」
「んんっ」
猛りを口に含んだまま、小さく首を横に振る。すると、彼も同じように首を振って苦笑した。
「それ以上されたら困る」
その言葉がなにを意味するか。性的なことに疎い涼子でも、それくらいはわかる。

