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琥珀色に染まるとき
第19章 面影との再会
第十九章 面影との再会
「ありがとう」
ブランド名が刻まれた小さな紙袋を受け取った涼子が、かすかに頬を染めて呟いた。
「誕生日おめでとう」
「……それ、もう三回くらい聞いた」
昨夜店で、今朝ベッドの中で、そして今――たしかに三度目だ。自然と口から出てしまうのだから仕方ない。
「こんなにいいもの、もらっていいのかしら」
「別にハイブランドじゃないだろ」
「でも、ブレスレットにしては高くない?」
「お前に似合うものを選んだまでさ」
涼子がそのブレスレットを試着した瞬間、すでにそれは彼女のものになった。柔らかなシャンパンゴールドが特徴の華奢なブレスレットは、それくらい彼女の白く細い手首によく似合っていた。
照れ隠しか、得意のだんまりを決めこんだ涼子は左腕に身体を寄せてくる。そのまま腕を絡ませて手を繋ぎ、クリスマス一色に染まった昼下がりの街を歩く。
寒さは身に沁みるものの風は弱く、日が当たればかすかに暖かさを感じる日曜日。絶好の買い物日和だ。
「他になにかほしいものは?」
「もう十分よ」
「美味いディナーが食べたいとか」
「だから、おうちであなたとウイスキーを飲みながら食事できれば満足なの」
「じゃあケーキを買って帰ろう」
「ふふ、子供みたいね」