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琥珀色に染まるとき
第20章 ラスティネイルの夜

***

 藤堂とタクシーに乗り、連れてこられたのは、CLEYERA BARというオーセンティックバーだった。重厚感のある木製扉の向こうには、上品かつ高級感漂う空間が広がっていた。

「マティーニを」

 通されたカウンター席に腰かけるなり、藤堂はジンベースの辛口カクテルを注文した。通称カクテルの王様である。そういえば、彼の雇い主は西嶋の店でマンハッタンを注文していた。

「女王と、帝王……」
「は?」
「いえ、なんでもありません」
「君はなににする」
「じゃあ、なにかウイスキーベースのカクテルを。マンハッタン以外で」
「それは嫌味か」
「違いますよ……」

 即座に否定してそっと右隣を窺ってみたが、彼は特に気に留めていない様子でスーツの内ポケットに手を入れている。だがすぐに動きを止め、なにかを考えこむような表情になり、ポケットからなにも取らずに手を戻した。

「煙草ですか? 大丈夫ですよ、私」
「…………」

 向けられる、物言いたげな視線。真意を探るようなその黒い瞳を見返し、涼子は柔らかく微笑んだ。

「お気遣いありがとうございます。でも本当に平気ですから、気になさらないでください」
「そうか。すまないな」

 そう言って口の端をかすかに上げる。あのことをもし把握しているのなら、胸に刻まれた煙草の痕についても知っているかもしれない。

「最近、明美とは連絡をとっているのか」

 唐突に尋ねられた。

「いえ、最近はほとんど……」
「そうか。もうあまり関わらないほうがいい」
「どうしてですか?」
「任務外のことにまで深入りするのは危険だからだ」
「……はい」
「君が冷静沈着なのは勤務中だけだからな」
「…………」
「不服か」
「い、いえ」

 厳しい意見に萎縮していると、藤堂は薄い笑みを浮かべた。

「これでも心配してるんだ」

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