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琥珀色に染まるとき
第21章 記憶の中の彼女を

「違う。彼は……」
とっさに口走ると、小林の目が不気味に輝いた。
「あんた、知り合いなの?」
「…………」
「どうしてなにも言わない? クククッ……あははは!」
「彼に危害を加えないで」
「もちろん、危害は加えない。そのかわり、お前が犯されてる姿を見せてやる」
「……っ」
「俺の邪魔するとこうなるんだって、この男にも思い知らせてやるよ」
小林は、狂喜にその顔を歪ませた。以前、この男が言っていた“あいつ”とは、西嶋のことだったのだ。
十一年前の惨事が脳裏によみがえり、左胸にするどい痛みが走る。不随意に震え出したこぶしを強く握りしめ、怒りと哀しみに痙攣する唇をきつく結び、涼子は苦しみに耐えた。
小林は涼子の携帯を操作すると、狐面の男に投げた。
「お前、それで動画とっとけ」
指示された男がこちらにカメラを向ける。
「雅人、もう許して……」
力なく立ち上がり、涙ながらに訴える明美。その腕を掴んだ小林が、彼女を地面に叩きつけた。
「お仕置きだ、小夜子」
その上擦った声が彼女の表情を恐怖に染める。
「やだっ、いやぁ! 涼子さんっ……」
泣き叫ぶ彼女に馬乗りになった小林は、その頬に平手打ちを食らわせると、細い首に両手を添えた。まさか――。
「明美さん!」
両側にいる男たちをひざ蹴りと体当たりで散らし、ロープで自由を奪われた腕を必死に振って走り寄る。だが、すぐに後ろから捕らえられてしまった。
「てめぇ、優しくしてればいい気になりやがって」
「あーあ。あいつ可哀相」
振り返ると、男二人の後ろで丸くなって倒れている小柄な男が、下半身を押さえて呻き声をあげている。

