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琥珀色に染まるとき
第21章 記憶の中の彼女を

──い、や……う、うぅ……。
犯されながら首を絞められ、そのまま還らぬ人となった真耶の声が脳内によみがえる。
「くっ……」
腹の底から湧き上がる悔しさに、涼子は奥歯を噛みしめた。
男たちの罵声と笑い声に混じって、雨の音が聞こえる。いつの間に降り出したのだろう。この状況を嘲笑っているのか、それとも憂いているのか。
「そろそろいいんじゃないか?」
「ああ。これだけやればもう動けねぇだろ」
「なにもできない女が調子に乗るから、こんなことになるんだよ」
男たちの会話の直後、うつ伏せの腹を蹴られて身体がひっくり返った。だらりと首を横に倒すと、数メートル先には同じく仰向けでこちらに顔を向ける明美がいた。
自身の上で動く男の存在など意識から切り離してしまったかのように、彼女の表情は虚ろで、ただその揺れに身を任せている。哀しみのしずくが、音を立てずにその目からこぼれ落ちた。
「……っ」
その光景を目にした瞬間、頭の中でなにかが弾けた。あれは、真耶の幻なのだ――。
――今度こそ、私が護らなければ!
涼子は心で叫び、縛られている腕を必死に動かした。結びが甘いのかロープが徐々にゆるまり、もう少しで外せそうだ。
「しぶといな、まだ動けるのか。おい、脚押さえてろ!」
仲間にそう命じた野獣が覆いかぶさってくる。小男に足首を押さえつけられ、簡単には身動きが取れない。羽織っているコートとスーツの上着を一気に開かれ、シャツのボタンを引きちぎられた。
「おとなしくしてればよくしてやるよ」
荒い呼吸と、気味の悪い笑み。負けるものか――と、涼子は恐怖と怒りに震える唇を無理やりつり上げ、言い放った。
「おあいにくさま。もう助けがここに向かっているわ」

