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琥珀色に染まるとき
第21章 記憶の中の彼女を

 涼子が最も悔しいのは、明美の一番の理解者であると思っていた自分が、最も肝心な彼女の気持ちを見逃してしまったことだった。西嶋の店で再会したとき、彼女が不機嫌だったのは、同じ女として少なからず信頼を寄せていたボディーガードに裏切られたと思ったからかもしれない。

 明美が小林との交際を隠したのはなぜだろう。こちらがその事実を知れば、警護してもらえなくなるとでも思ったのだろうか。

 違う、と心の中でつぶやき、涼子は嘲笑を浮かべた。

――彼女が正直に打ち明けるチャンスを、私が潰していたのね。
 
 ただの客と言った始めの嘘は、明美のほんの小さな強がりだったのかもしれない。店で知り合った男に本気になり、挙げ句の果てにストーキングされている。これだから水商売の女は、と揶揄されるのが嫌だったのだろう。
 明美はあのとき、女としてのプライドを守ろうとしていたのか。同じ女として、なぜそれに気づいてやれなかったのだろう。

 ストーカー被害の多くは、交際相手や配偶者によるものだ。それを把握していたのに、真っ先にその可能性を疑わなかった。ストーカー被害者のことになると冷静になりきれず、一人で突っ走っていた。
 明美の嘘を見抜けなかったのはそのせいだ。私情を挟んで、熱くなり、心の乱れが彼女にも伝わっていたのかもしれない。

 六月二十九日の夜、彼女がGPSを持たずに出かけたのは、小林に会いにいくことを知られたくなかったからだろう。
 明美が小林の歪んだ愛情を受け入れていたのは、彼女が、彼女なりに小林を愛していたからなのだろうか……。

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