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琥珀色に染まるとき
第23章 いつか無色透明の愛が

 店主に笑顔を向けると、彼も満足げに微笑む。

「最近、ウィームスが新しい蒸溜所をオープンしたんだよ」
「どこです?」
「キングスバーンズだよ。ゴルフ場近くにある小さな村さ」
「行ってみたいな。でも、新しいシングルモルトが飲めるのは数年後ですね」
「製品化には最低三年はかかるからね」
「じゃあ、十年くらいしたらまた飲みにきます」

 “Brilliant”と返答した彼は、テーブル席から移動してきた女性二人組の接客を始めた。

 ウイスキーをちびちびやりながら、店主と約束した十年後を想像してみる。
 四十を過ぎた自分を思い浮かべるのは難しかったが、四十代後半になった西嶋の姿は案外容易に想像できた。顔のしわが増え、髪の量は少し減っているかもしれないけれど、木漏れ日のように優しい微笑みと柔らかな物腰はきっと変わらない。

 十一年前には未来を想うことすらできなかったのに、今、当たり前のように十年後を見つめている。

 隣に彼が座っていたらどう言うだろうと考えていると、無性に会いたくなった。いや、本当は、離れたときからずっと顔が見たくて仕方がなかった。

──ばかな女……。

 いつも無意識に心の中に誰かが存在する。そして、その者との未来を想像できる自分は、きっと自分が思うよりずっと幸せなのだと涼子は思った。

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