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琥珀色に染まるとき
第23章 いつか無色透明の愛が

美味しい酒と、賑やかな雰囲気に少し酔わされたようだ。食事の提供をおこなっていないその店をあとにして、涼子が向かったのは、近くにあるデリカテッセン。生ハム、チーズ、サラダ、バゲットなどサンドイッチの材料を購入し、暗い寒空の下を歩いて宿泊先に帰った。
チェックインを済ませ、預けていた荷物を受け取り、案内された部屋に向かう。四角い螺旋階段で二階に上がり、絨毯敷きの廊下を経て目的のシングルルームの扉を開けた。
茶色と白を基調とした暖かみのあるモダンな内装の部屋には、ベッド、壁掛けテレビ、こぢんまりとしたデスクに椅子、電気ケトルやカップなど、必要最低限の設備は整っている。荷物を置いてバスルームを覗いてみると、清潔に保たれているようだった。
どっと倦怠感に襲われ、上着を椅子に掛けてブーツを脱ぎ、ベッドに仰向けになる。窮屈さから一気に解放された足は、思い出したように疲労を訴え始めた。
「ああ……疲れた」
しばらく天井をぼんやりと見つめる。まぶたを閉じたらそのまま眠ってしまいそうなので、先にシャワーを浴びることにした。おもむろに立ち上がり、ハイネックのセーター、ジーンズ、と次々にベッドの上に脱ぎ捨て、裸でバスルームに入る。熱いシャワーに打たれると、頭がすっきりした。
シャワーを終えた涼子は、長い髪をタオルでまとめてバスルームを出た。スーツケースを開けて暖かな生地のナイトガウンを探し出し、身につける。しっかりと暖房が効いているので、寝るときはいつものようにスリップに着替えればいい。
いくつかのスキンケア用品を狭いデスクの上に並べ、椅子に腰かけると、目の前にある鏡を見ながら必要最低限のケアをする。そして、備え付けのヘアドライヤーで髪を念入りに乾かした。

