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琥珀色に染まるとき
第24章 THE NEARNESS OF YOU

「悪かった。俺がお前を強がらせてしまった。いつもお前を支えているつもりだったのに、肝心なときになにもできなかった。情けない男だ」
嘲笑して細い身体をきつく抱きしめると、腕の中で小さな頭が左右に揺れた。
「一緒にいたら、私があなたに甘えすぎてしまうから」
「だから離れたほうがいいと思ったのか。一人になれば解決するのか。ここに来たのだって……」
感情に任せて問えば、顔を上げてこちらを凝視するその深い瞳が戸惑いに揺れる。やがて彼女は目をそらし、腕の中から強引に逃げて背を向けてしまった。
「涼子」
「頭ではそう思ったわ。でも……」
そこまで言って黙りこむ。景仁はその肩にそっと触れ、後ろから優しく抱きしめた。
「でも?」
続きを促し、白く細い腕を撫で、シーツの上で重ねられた彼女の両手を自らの片手で包む。静かに、彼女が息を吸う気配がした。
「やっぱり、だめなの」
彼女はおもむろに寝返りをうち、すがりついてくる。
「離れたくないの。……本当は、ずっと」
そのか細い声は、胸の奥にじわりと響いて広がった。腕の中で弱々しく震える愛おしい女を抱きすくめる。
「俺はお前と離れようと思ったことは一度だってない」
うん、と、ふん、の中間のような声が返ってくる。

