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琥珀色に染まるとき
第24章 THE NEARNESS OF YOU

「素敵なところね」
「隣には美女。最高だよ」

 軽口を叩けば、なに言ってるの、と冷たくあしらわれた。そんなクールビューティーの表情を窺うと、やはりその頬はかすかに色づいているように見える。彼女のそういった反応をたまらなく好きだと感じる自分は、変態以外のなにものでもないと思う。

 坂道を下って小さな交差点に差しかかると、車は減速し、ゆっくりと右折した。細い道に入り、両脇に佇む建物の間をしばらく進む。やがて左手に見えたのは、白壁に緑の窓枠が印象的なこじんまりとしたホテル。

「ここね」

 涼子は車を道路脇に停車させた。

「先にチェックインを済ませて荷物を置こう。駐車場の場所も聞かないと」
「そうね」

 ドアを開けて車を降りると、同じく降車した彼女が運転席側からこちらに歩み寄ってきた。ごく自然に身体を寄せ、腕に手を回してくる。

「ボウモア蒸溜所に行きたいわ」
「ああ。すぐ近くだから歩いて行けるよ」
「明日はカリラと、どこがいいかしら」
「気が早いな。もう明日の話か」
「だって楽しみで仕方ないの」

 ふふふ、と彼女は本当に愉しそうに笑う。のどかな街並みと島の空気に触れ、すでに心を許したのだろう。

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