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琥珀色に染まるとき
第24章 THE NEARNESS OF YOU

 製造工程の見学を終えると、ビジターセンター二階にあるテイスティングルームへ通された。広いフロアはバーのようになっており、ここでウイスキーの試飲ができる。海を見下ろせる窓側のカウンターで、蒸溜所特製のテイスティンググラスに注がれたボウモアを頂く。

 まずは、お馴染みの十二年。アイラモルトの中でもバランスに優れた一本で、ボウモアを代表する逸品である。琥珀色したウイスキーの香りを、尊敬の念を込めてゆっくりと嗅ぐ。ピーティでスモーキーだが、ハーブやレモンのようなアロマもあり、やがて蜂蜜が香る。
 口に含む。やはりスモーキー、そしてダークチョコレートを思わせるコク、繊細な余韻が長く続く。

「……うん」

 景仁は、思わず声を漏らした。それに気づいたのか、涼子が代弁してくれる。

「いつもより飲み心地がいいような……どうしてかしら」
「この地でボウモアを飲むことの必然性を、肌で感じているからじゃないかな」
「うん。自然な感じがするのよね」
「隣にお前がいるからかもしれないな」
「え?」
「そうだ。うん、きっとそうだ」
「……そうかしら」

 照れくさそうに呟いて、再びグラスに口をつける彼女を、景仁は穏やかな気分で眺めた。
 その土地の空気に触れながら、そこで誕生したウイスキーを身体に流しこむ。隣に寄り添って同じものを口にし、同じことを想い、それを共有できる相手がいる。これ以上ない必然性を感じた。

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